弦楽器パート作成~Hyperion Strings Micro使用・アーティキュレーション調整し、多人数感のあるパートに

今回は、最近何件か頼まれた曲アレンジ(ちょっとファンタジックなやつです)で、いつも使っている音源じゃないもので、弦楽器パート作成しましたので、その様子についてお話しします。利用したのは『Hyperion Strings Micro』。単体では厳しいところもあるけど、組み合わせによっては化けると思います。さっそく内容を確認していきましょう。

Hyperion Strings Micro(SOUNDIRON)とは?編成やアーティキュレーションなどは?

誰でも使えるコンセプト 弦楽器アンサンブル・ライブラリ

Native InstrumentsのKONTAKTで動作する音源ライブラリです。値段もそんなに高くなく(sonicwireや宮地楽器で5000~6000円程度)、サクッと多人数感のある弦楽器パートが入れられるのが特徴です。勿論、EQやアタック・リリースなどのほか、キースイッチでアーティキュレーション切り替えたり、『バイオリンは右』みたいな配置なども行えます。

Hyperion Strings Microの編成

編成は『バイオリン(8人)/ヴィオラ(6人)/チェロ(5人)/コントラバス(4人)』がアナウンスされています。QL Hollywood Strings Diamond Edition等に比べると人数が少ないです(1stバイオリン16人・2ndバイオリン14人など)。値段の関係でしょうがないかも。
とはいえ、『アンサンブルパッチ』をフルで鳴らすと多人数な感じがでやすいと言えます・


特に『space』のタブでの操作がポイントでしょうか。リバーブ空間を『カテドラル・ホール』にして、ややwetを上げ、『マイクポジションfar』。楽器配置(position)を広げて配置してやると、デフォルト状態とは見違えて響きが良くなります。

Hyperion Strings Microの搭載アーティキュレーションは?


アーティキュレーションについては、よくある専用音源のように『キースイッチ切り替え』で対応します。既にアサインされていました。基本のNon-vibrato/vibrato Sustains(p/mf/f)のほか、以下のアーティキュレーションが確認できました。

  • クレッシェンド(8カウント)
  • デクレッシェンド(8カウント)
  • スタッカート(8分音符)
  • スピッカート(32分音符 弓を弾ませて弾く)
  • ピチカート(弦をはじく)

特にスピッカートは、中央swellパラメータを上げると、アタックがガッツリ出るので、ハードロック系の曲でも使えるようになります。

Hyperion Strings Micro(SOUNDIRON)出音確認・イイ感じのポイント

アンサンブルパッチで広げると、ちょっと多人数・高級感が


アンサンブルパッチ・バイオリン(8人)/ヴィオラ(6人)/チェロ(5人)/コントラバス(4人)全員分で鳴らしたロングトーンです。ポジションはデフォルトより広げました。多人数な感じがして良さげです。

速いパッセージは得意(スピカート)


BPM120・16分音符フレーズ(適当に入れました)。アーティキュレーションはスピカート使用。わりとアタック弱めにした感じですが、結構きちんと聞こえてきます。

『swellパラメータ』を上げておくと、ロックやEDM・速いポップスなどでも、聴こえてきそうな感じです。コントラバスとか、他の音源と混ぜて使いたい感じ。むしろ、ガッツリとクラシック調の曲を作るより、こっちの用途なのでは?(笑)

しかし、スタッカートが少しアタック的に弱いので、ベロシティ・ボリュームなどと組み合わせて使い分けます。

Hyperion Strings Microの弱いポイント

特定のポイントにおいては、一昔前の完全プロ用に出音で負けない感じはします。しかし値段はそんなに高くない(sonicwireや宮地楽器で5000~6000円程度)ので、それなりなところもあります。弱いところは他の音源でカバーします。

アーティキュレーションが少ない&一部が微妙

お値段の関係でしょうがないところはありますが、高い価格帯のものに比べてアーティキュレーション少ないです。高いのは『トレモロ・半音/全音トリル・HARMONICS・SFORZANDO』など、いろんなアーティキュレーションが入っています。そういうのと比べると弱いなと思います。

また、『クレッシェンド/デクレッシェンドがlong固定』みたいなのも、微妙な感じです。結局はSustainsを鳴らしてボリューム調整でやるのが確実です。

一台で何でもできる系音源ではない

基本的に弦楽器セクションしか入っていません。他の商品には『パイプオルガンなど鍵盤』『パーカッション』『ハープ』『ブラス系』も入っているものもあります。epicなどをやる場合は、パーカッション・シンセ・ブラス系が必要でした。

ソリストがいない

管理人が一番気になったのがここ。全部のパッチが『複数で収録したパッチ』なんですね。ソロ専用音源を用意するか、クラウドソーシングで弾いてくれる人に頼みます(笑)

あとがき・まとめ

  • Hyperion Strings Microのアンサンブルパッチは、『space』エディットでイイ感じに
  • スピカートは速いパッセージも得意
  • アーティキュレーションが少ない等の難点も

まとめると、このような形でしょうか。お値段なりに『なんでもok』というわけではありませんでしたが、特定の部分に関しては強みが見えました。使い込んで、SSFなり注文なり、適材適所で使えるようにしていきます。